こんにちは、眠りねこです。
先日子どもと遊びに行った施設で、カイコ(幼虫)とカイコガ(成虫)を見ました。
すると翌朝、自宅の玄関先でカイコ蛾そっくりの子がいるのを発見。
色だけ違いますが、形はそのまんまカイコ蛾です。
Googleの画像検索をしてみると、カイコと同じ祖先ではと言われている「クワコ蛾」でした。
今までも居たかもしれませんが、前日にカイコの実物を見ていたので気がつけたようです。
ねえねえ、このこ飼いたい!!
子どもが飼いたいというので、とりあえず空いていた虫かごに入れてみました。
この時点では一日観察して翌朝に放そうかなくらいで、この後の1ヶ月以上に渡る展開は全く予想していませんでした💦
カイコは家畜化されて飛べないように進化していますが、クワコは野生種のため飛ぶことができます。
この子も玄関先の外灯に飛んできたのでしょう。
今回子どもと野生の生きものを身近に観察してみて、とてもいい学びになりました。
カイコの図鑑を参考にしつつ、発見したり写真や動画に収められたことをまとめてみました❗️
初めての発見が楽しくて、ついてんこ盛りにしてしまったのですが、カイコを育てたり、クワコについて知りたい方、生きものの不思議を知りたい方に読んでいただけると嬉しいです。
クワコの飼育観察 8/20~
私はクワコはおろか、カイコを育てたこともありません。
前日に養蚕の資料館でカイコの幼虫と成虫を見たくらいでした💦
地域によっては学校で育てるところもあるようですが、そのような経験もなく、この日から手探りで飼育に挑戦しました。
クワコ:成虫 8/20 朝
拾ったものの、そもそもご飯は何をあげればいいのか、この時点では本も何もなかったので、ネットで検索してみました。
しかしカブト・クワガタのようにメジャーでないのであまり出てきません。
しかし、いくつかのHPや図鑑を確認したところ、どうやら食事を摂るための口は退化していて、成虫になったら食事はとらないようでした。
カイコは真っ白ですが、おんなじ形で茶色がかったグレー色をしています。
指に止まらせるとプルプル震えながらしがみついていて可愛いです。
(ちょっとこの辺の感覚は人それぞれかもしれませんが💦)
この時点では、カイコと比べて小柄なのでオスだと思っていました。
クワコ:産卵 8/20 夜
飼い始めたその日の夜、子どもも寝付いた21時過ぎに事件が起こりました。
虫かごに入れていたクワコ蛾が、かごの天井の透明な部分にのぼって来ました。
観察しやすいなと近づいて見ようとすると、おしりからクリーム色の丸いものが出てきました。
「産卵してる!!」とびっくり。
カイコのメスより小柄に見えたので、てっきりオスだと思っていたら何とメスでした。
前日に養蚕の映像を見ていたのですが、カイコと同じように卵が重ならないようにおしりをフリフリしてスペースを探しながら、1個ずつ産み付けていきます。
その後私は寝てしまいましたが、そのまま産み続け翌朝には産み終えていました。
(きちんと数えられてはいませんが100個以上はありました)
この子が成虫になってから、どのくらいでうちにきたのかはわかりませんが、卵を産み終えたあと2日後に命を終えました。
成虫は子孫を残すためだけの形態で、食事も取らずに交尾・産卵して10日ほどで命を終えます。
この姿で生きている期間はほんとに短くて儚いんですね。
子どもはしばらく置き場を作って大事にしていました(後日埋葬しました)。
クワコ:たまご 8/28 8日目・昼
ネットで調べた情報では未受精卵かもしれなかったり、冬越しする卵だと色がついて孵化は次の年の春になるのとあったので、孵化するのかな?と半信半疑に思っていました。
しかしだんだん卵の色が変わってきたので、冬越し卵になるのかしら?と思って近づいて見ました。
この時点で産卵後8日経っていました。
確かに色がついて黒っぽいけど、なんだか様子がおかしい。
苔観察用に買った10倍ルーペで覗いてみると…
んんん??幼虫っぽいものが丸くなって入って、足もあるように見える?!
クワコ:孵化 8/29 9日目・朝
翌朝、子どもが登園準備をしていた時に「何か動いているよ!」と言うので虫かごをみてみると。
わ!生まれてる!!
毛が生えた、ちいさなちいさなクワコが殻を脱いで次々に出てきます。
黒っぽい卵はまだ中に入っていて、出てきた後の卵は黄色です。
子どもが「もっとよくみたい!」というので、ルーペで観察しました。
この子たまごの殻ごと動いてるよ(笑)
どんどん上がっていくね~
この後、孵化は翌日まで続きました。
カゴの蓋の裏や本体側面などあちこちにたくさん産み付けられていた卵から、次々生まれてきました。
カイコの図鑑には朝日が当たると孵化して、次々に生まれるとありました。
引用:大研究カイコ図鑑: 生態から飼育方法、歴史まで。カイコのひみつがすべてわかる!
ふ化はたいてい、朝、はじまる。気温の変化や光を感じとって、ふ化するんだ。
🌿クワの葉探し 8/29~9/23
クワコが生まれたのを確認して慌てて、クワの葉を探しに出ました。
幸い、家の周りの草地にクワらしき草が生えていたので、いくつか取ってきてかごに入れて一安心です。
その後、このクワの葉探し&採取が重要なお仕事に🌿
8/29から始まり、9/23に最後の子が繭を作り出すまで26日間続きました。
クワはすぐ葉がにしおれてしまうので、1日に数回補充する必要があります。
しかも近くに生えているのは小さな株で、すぐにしおれるので毎日採取していました。
車移動中もつい、土手や草地を眺めてはあれもクワの葉、これもクワの葉と目が探すようになってしまいました😅
少ない日で2回、多い時期は4・5回取りに行きました。
一応人口のエサもあるのですが、図鑑によると人口のエサはカイコにとってクワの葉よりは美味しくないらしく、いちどクワの葉を食べたカイコは人口のエサは食べないとのこと。
カイコの場合小さい頃は、人口のエサの方が病気になりにくかったりするらしいのですが、それでも大きくなったら(4令くらい)クワの葉をあげるほうが丈夫に育つしいいマユも作るそうです。
幸いこの子達を賄えるくらいのクワが周辺に生えていたので、それをまめにあげていました。
クワコ:幼虫(1令~5令?)
カイコだと1令から5令まで幼虫の期間があるようですが、クワコも同じくらいでしょうか。
ただ、たくさんいて1匹ずつ追えなかったので何回脱皮したかはわかりませんでした。
2日間で次々生まれましたが、個体差や食べる速度などにもよるのかしばらくすると体の大きさが全く違ってきて、同じ時期に生まれてもこんなに育ち方が違うのかと驚きました。
その後、カイコほどは大きくならずカイコの4令くらいのサイズでマユになりました。
生まれて 0日 8/29
孵化した幼虫の体には毛がびっしり生えています。
カイコだと孵化したての幼虫のことを毛蚕(ケゴ)とよぶそう。
この「毛」がうまい具合にクワの葉の毛にくっつきます。
まだ手足の力が弱くても、毛でしっかり葉っぱにくっつく仕組みを持っていて、よくできていますね。
また、こんな小さな子でもちゃんと糸をだして落ちないようにぶら下がっていました。
卵を産み付けたカゴはもともとカブトムシなどを一時的に入れておくカゴです。
幼虫が小さすぎて、カゴの蓋の隙間から脱走して机の上を歩き回り、糸を伝って机から降りてと脱走します。
家畜化されたカイコは自分で食料を探しに行かないでじっとしていると聞いたのですが、クワコはその点アグレッシブに動き回ります。さすが野生種、なかなか活動的でした💦
この時期の注意点は”小さくて傷つきやすい”ので、
湿らせた筆については後で紹介する本を読んで知りました。
そもそも小さすぎて直接触るのはためらわれたので、最初は桑の葉にそっとくっつけて移動させていました。
生まれて 2日 8/31
もう個体差が出てきました。
少し大きくなった子がちらほらいますが、すでに脱皮したのかも?
本来は柔らかい葉っぱをあげたほうがいい時期らしいのですが、最初はわからず大きめの硬めの葉っぱも入れていました。
この時期は表面を薄く削り取るように食べるそうで、肉眼では分かりづらかったです。
生まれて 5日 9/3 2令?
頭部が丸く大きくなってきました。
お顔自体は小さいので「肩」が大きい感じです。だんだんマッチ棒のような体型に。
最初は卵が産み付けられていた虫かごで飼っていましたが、図鑑を読むと紙箱のほうが良さそうだったので、この後フタのある空き箱を見つけ、フタに空気穴を開けてそちらに移しました。
生まれて 8日 9/6
更に一回り大きくなって、最初は表面を薄く削るようにしか食べられなかった葉っぱも、しっかりかじり、こんなアクロバティックに食べる子まで出てきました。
胸脚(尖った3対)、腹脚(平たい4対)、尾脚を駆使して葉っぱをしっかりつかんで、見事に食べています。カイコは足の力が弱いそうなのですが、クワコはしっかりくっついています。
生まれて 11日 9/9
この頃にはさらに個体差が出てきました。
一番大きい子(茎の上)と小さい子(葉っぱの上)は体積で8倍位の差がありそうです。
生まれた時間は24時間くらいしか違わないのに、ここまで差が出るんだと驚きます。
生まれて 15日 9/13
今更ですが、大きさを比較。
お掃除の最中に、ボールペンと比較してみました。
この掃除が結構大変でした。
脱皮前の「眠(みん)」と呼ばれる状態の子もいて、そういう子は動かないので、新しい葉っぱを入れても移動してきません。
枯れた葉っぱをどかしたいのですが、眠の状態の子はあまり触ると脱皮がうまくできなくてそのまま死んでしまったりもするので、脱皮が始まってからはお掃除も気を使いました。
また、食事→休憩(消化)→ウンチ→また食事というサイクルのようで、眠じゃなくても一定時間だけ動かない子もいて見分けがつかなかったです。
古い葉っぱを捨てようとすると、そこにくっついて動かない状態の子も隠れていたりします。
しおれて縮まっている葉っぱをそっと広げて確認しながら、クワの葉と下に敷く紙の入れ替え作業は地味に1時間以上かかりました。
なので入れ替えは2日に1回、他はフンだけ捨てるだけなどしていました。
生まれて 17日 9/15
クワコもみんな大きくなり、すごい勢いで食べてたくさんフンをします。
前日夜に追加したクワを食べ、その分下にはもうこんなに溜まっています。(黒いのがフン)
こちらは、朝蓋を開けて新しい葉っぱを追加したところです。
お腹をすかせていた子たちが早速よじ登ってかじっています。
夜や長時間のお出かけの際は箱の蓋をしめていましたが、そうしないと動き回って脱走します。
家畜化されたカイコはあまり動かないそうですが、野生のクワコは活動的で、箱に近づく際も逃げた子をうっかり踏んでしまわないように、周りをよく確認してから近づいていました。
この日は、後で右下の子たちが脱皮をする様子を捉えることができ、他にマユを作る子も出てきました。別章で動画付きでご紹介します📹️✨
生まれて 19日 9/17
朝蓋を開けたところ、前日夜に入れた葉っぱをだいぶ食べています。
右下に濡れた部分がありますが、これはマユづくりの際に体内の余分なものを全て出したものと思われます。すぐ上のマユを作っている子のぶんかな?
クワコ 眼状紋
アップでお顔を撮ってみると、肩の部分にある「眼状紋」が目立ちます。
こちらは目みたいに見えますが、ただの模様で鳥や他の虫を驚かすための模様だそう。
本来のお顔は青く囲った部分で、目もすごく小さいです。
この眼状紋も、クワコがなにかに驚いて、「きゃっ!!」という感じに縮こまると、肩がせり出して目立ちます。その様子を見ていると、脅しているというよりは、怖がりな印象で可愛かったです。
この日はだいぶ、マユを作り出す子が増えてきました。
生まれて 20日 9/18
朝箱を開けて葉っぱをあげたところです。
隅の紙の中や、下の葉っぱの中などでたくさんのマユができてきています!
夕方、お掃除後にマユを確認したところ、つくりかけの子も入れて29個。
上の5個は16日確認分、真ん中の18個と下の作りかけ6個確認できました。
このあたりで、クワの葉を食べる子が減って、お世話の時間がだいぶ短縮しました。
生まれて 21日 9/19
珍しく上からアップの写真。
大きさにもだいぶ個体差があるのと、きゅっと縮んで丸っこい感じの子と、うーんと伸びてひょろ長い感じの子で印象がかなり変わります。
触り心地も滑らかでひんやりしています。
背中のにも目玉みたいな模様がはっきり見えてこれも敵を驚かしているのでしょうか。
生まれて 22日 9/20
どんどんマユになっていきます。
このくらいの大きさと数になると、1匹ずつを観察しやすくなりました。
生まれて 24日 9/22 最後の4匹
この日は残り4匹になりました。
お世話もあともう少しかと思うと少しさみしい気持ちになります。
生まれて 25日 9/23 最後の1匹
翌朝、3匹マユになり(右側)、とうとう最後の1匹になりました。
お掃除もすぐに終わり、新しい葉っぱを入れましたが、もう食べずに動き回っていました。
最後の子は慎重派で、クワの茎と葉っぱからは降りようとしません。
ちょっとの物音にも、「きゃあっ」と縮こまってしばらくじっとしています。
だから最後まで残って、ゆっくり育ったんでしょうね。
こういう個体差も、野生では生き残りのために必要なのでしょう。
夜にはこの子もマユを作り出し、やっとクワ取り生活が終わりました。
やっと時間が確保できて、観察のまとめ作りに取り掛かり始めました。
クワコ:脱皮 📹️動画あり!
小さいときは脱皮してもよくわからなかったのですが、少し大きくなってくると脱皮の様子もわかりやすくなりました。
脱皮:うまれて8日 9/8
お掃除をしていると皮を脱いでじっとしている子を見つけました。
周りの子より全体やお顔が白っぽいです。
脱皮:うまれて17日 9/15 10:12
右の壁にいる子はすでに脱ぎ終わり、安定するまでじっとしています。
必ずというわけではなかったですが、脱皮後に皮を食べている子もいました。
手前の紙の上でぴーんとしている子は脱皮前で、この5時間後に脱皮が始まりました。
脱皮:うまれて17日 9/15 15:19 📹️あり
クワコの脱皮の様子を撮影することに成功しました!!
📹️YouTubeにupしてみました(編集なし・音無し・字幕あり)
イモムシは体の皮を脱いで、最後頭の皮を脱ぐと聞いていたのですが、それがバッチリ見れました!
脱皮が始まって、前に進んで体が脱げたら、今度は顔を左右に振って葉っぱにこすりつけ、顔に残った皮を落としています。
立ち上がって、しばらく動かずに新しい体が固まるまでじっとしています。
後でクワコが落としたお顔の皮を拾ってみました。デスマスク?ちょっとちがうか(笑)
きれいに顔の形が残っています!
クワコ:まゆづくり&おしっこ 📹️動画あり!
9/15、脱皮をしている子もいるかと思うと、もうマユづくりに入っている子も出ました。
引用:大研究カイコ図鑑: 生態から飼育方法、歴史まで。カイコのひみつがすべてわかる!
マユを作るじゅんびができたカイコは、まずクワの葉をあまり食べなくなる。そして、あちこちうごきまわってクワの葉からはなれたり、飼育箱のすみのほうにいったりしたあと、じっとしていることがおおくなる。
みためも、すこし黄色っぽくなって、からだがひとまわりちじむんだ。こうしてマユをつくるじゅんびがととのったカイコのことを「熟蚕(じゅくさん)」とよぶ。
頭を左右にふりだしたら、糸をはきはじめたしるしだよ。
ほんとにこの通りで、クワコも同じ様子でした。
箱から脱走する子に葉っぱをあげても、食べずに動き回ることが多くなって、体の色も黄色がかってきました。
首をフリフリ マユづくり 📹️動画あり
マユを作っている4匹のクワコ達です。(編集なし、音なし、48秒)
マユを作るのには2・3日かかるようですが、左端はだいぶ完成していて、それより右の3つはまだまだこれから、という感じです。
外の足場作り→外側の覆い作り→中のお部屋つくり、と大まかに3ステップのようでした。
ウンチとおしっこ 📹️動画あり
クワコは基本は黒・緑色のウンチしかしなかったのですが、蛹になる前と成虫になってからは余計なものを体外に排出するためおしっこのような物をだすそうです。
たまたまその瞬間も見られました!
何かでてきたぞ?と思うと見たことのないおしっこを出しています!
マユを作っている途中で完全に閉じる前に、おしりをにゅーっと外へ出して、白っぽいフンと水分を排出します。
誰に教わるわけでもなく、ちゃんとマユの中を汚さないように、よくできているなぁと感心しました。
(編集なし、音なし、約2分)
終わったらおしりを中にしまって、最後にまゆを塞いで完成のようです。
いつもは手榴弾のような黒っぽいフンですが、マユを作る途中で左下に転がっているような白っぽいウンチを出して、最後に水分を出していました。カイコの本には以下のように載っていました。
ぜんぶわかる!カイコ より引用
熟蚕は、クワの葉を消化しきれなくなり、みどり色でやわらかいふんをする。
やがてさいごには、白や褐色のふんをする。
見ていると全体的に
断食→場所探し→糸を吐いて足場作成→ウンチ・おしっこ→自分がはいるマユをつくる
という流れでした。
最終的にマユは49個できました。
みんな元気に育てようと思っていましたが、全員はマユにはなりませんでした。
病気があったりするのか、それともうまく脱皮できなかったのか…。
それでも、野生では他の生きものに捕食されたり、寄生されたりということもあると考えると、生き残るのはもっと難しいのでしょうね。
マユのサイズ・固さ
全体的に小さめのマユと大きめのマユとありました。
後で羽化して性別を確認してからわかったのですが、小さめのマユはオスのよう。
それがわかってからは、サイズで分けておくとだいたいその通りの性別の子が羽化してきました。
固さは、葉っぱに包まれる前提だからか、押すと凹みそうなふんわりした感じです。
カイコの強固なマユとは全く違います。
カタチもラグビーボールのように端が少し尖っていてそちらが足側のようでした。
クワコ:羽化~成虫のオスメスの違い~野生に戻すまで 📹️動画あり
カイコだと2週間ほどでサナギから出てくると図鑑で読んでいたので、10日過ぎになってくるとそろそろ羽化するかなと気になりだしました。
他の方のクワコを飼ったブログで60日以上かかったというのも読んだ事があるので、うちはどうかな?と思いつつ、念の為早くマユになった子だけ紙箱ではなく、小さな虫かごに入れておきました。
羽化の時間帯も調べてみたもののよくわからず、何となく明け方かな?と思って毎朝確認していました。しかし実際羽化してみると、全然違いました。
その日は突然に 9/30 うまれて32日
午前中買い物に出て帰ってきて、遅い昼食をとろうとして眼の前のかごをふとみると…
「成虫がいる!!」
壁にしがみついている子はまだ羽を伸ばしている最中で、蓋に止まっている子はもう広がっています。
無事羽化して出てきてくれて良かった~!とまずは一安心。
最初にマユを作った子が出てから15日ほどでした。
マユに日付を書いていなかったので正確に何日で羽化したかは不明です。
虫かご以外の子も1匹羽化して、この日は3匹羽化しました。
成虫は野生に返すと決めていたので、夕方子どもと一緒に近所のクワの木に放しました。
カップル成立
翌日、散歩がてら昨日の子たちを放した桑の木を見に行ってみると、1匹はまだ同じ場所にしがみついていました。
他2匹を探してみるものの、飛んでいったのか見つけられませんでした。
帰りにまた最初の子を見てみると。あれ??オスがきてる👀❗️
何とカップル成立しているではないですか❗️
離れていたのは6分ほどです。
奇跡の瞬間に立ち会え、ここまで見届けられると無事育てられたと感無量でした。
しかし、まだまだマユは残っています。
その後 初めてのオスが羽化&メスとの対比
羽化が始まって3日目、初めてのオスが羽化しました。
クワコ成虫 オスのおしり
子どもを園に送り帰ってきたら、1匹だけ羽化していた子がいました。
オスを見たことがなかったので最初確証が持てませんでしたが、おしりのカタチが違います。
穴がなく、フェロモンの袋も出てこなかったので、オスと思われます。
クワコ成虫 メスのおしり
メスはフェロモンの袋をだしますが、羽化後の経過はこんな感じでした。
クワコの成虫 オスメス比べてみた
オスとメスを並べてみてフェロモン袋以外の違いを確認してみました。
左がメス、右がオスです。
その他のオスの特徴は前足フリンジとお腹の大きさや反り具合の違いなど感じました。
まとめると
専門家ではないので、細かくはわかりませんが何匹か見た中での違いはこのようなものでした。
マユから出る前・出る瞬間・出た後
マユは時々かさこそ音がしたり、揺れたりするのですが、羽化してマユから出てくるときは逆にものすごく静かです。
マユのとなりで作業していたのに、気がつくともう出てる!みたいなことが多く、羽化をしっかり見られるよう、周りの紙や葉っぱを可能な限り取り除いてみたら、やっと羽化する前兆に気がつけました。
それは、中のマユに黒い丸い穴が透けて見えてくること。
マユを溶かして頭が見えかけています。
マユは分解酵素を出して溶かすと図鑑で読みましたが、出てくる前に透明な液がじゅわっと広がったり、出てきた成虫の頭(口?)に液が残って、丸い雫がついていたりしました。
マユから羽化する瞬間 📹️動画あり
最初は見逃していましたが、しばらく観察しているとマユから出てくる瞬間もみることができました❗️
上でも書きましたが、すぐ横にいて作業しているのに、気がつくと「いつの間にか羽化してる!!」というくらいものすごく静かです。
何回かは子どもも一緒に目撃できて、貴重な瞬間を撮影できました。(編集なし、音あり、約2分)
動画の子が最後にたどりついたのは違うマユでした。
つかまられたマユは、中で脱皮でもしていたのか定期的にプルプル震えてひっかき音がしていたので、羽化した子は後で別のものにつかまらせました。
無精卵?
基本的には羽化した個体はその日の夕方、近くの桑の木に放しに行っていました。
ただ、メスが1匹だけ羽化した日は用事があり2日間放しに行けなかったのですが翌日に卵のような粒がありました。
出すところを見ていないのですが、卵だと思われます。
たまたま他の個体もいなかったので、無精卵でしょう。
個体差もあると思いますが、こんな感じに出てきてしまうものなんですね。
羽化を観察した気付きと注意点
その後数日経過を見ていると、マユから出る時間帯がほぼ決まっていました。
・AM:7時~9時
・PM:13~15時
夜中とかじゃなく、比較的観察しやすい時間帯だったのでしっかり見られました。
またこの場で交配して卵が生まれると大変なのと、同じ親から生まれたこの子達が交配してしまわないように羽化した際は性別を確認して一緒にならないようかごを分けて放すまで気をつけました。
後ほど紹介しますが、ある絵本で大量飼育する大変さを実感できたので、ここはしっかりと気をつけました。
かなり気にして、オス・メスをチェックしていて気がついたのは、朝の時間はオスのみということ。
逆に午後はメスがほとんどで、たまにオスが出てきましたがイレギュラーな感じでした。
※下記一覧表参照
羽化の時間と性別の一覧表
マユは全部で49個、9/30日から羽化が始まりました。
羽化日 | AM | AM | PM | PM | 羽化数 | マユ残数 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
9/30 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 | 3 | 46 |
10/1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 4 | 4 | 42 |
10/2 | 1 | 0 | 0 | 5 | 1 | 5 | 6 | 36 |
10/3 | 1 | 0 | 1 | 2 | 2 | 2 | 4 | 32 |
10/4 | 1 | 0 | 1 | 3 | 2 | 3 | 5 | 27 |
10/5 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 3 | 24 |
10/6 | 4 | 0 | 1 | 2 | 5 | 2 | 7 | 17 |
10/7 | 2 | 0 | 0 | 6 | 2 | 6 | 8 | 9 |
10/8 | 2 | 0 | 0 | 3 | 2 | 3 | 5 | 4 |
10/9 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 3 |
10/10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
10/11 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
10/12 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 |
10/13 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
総数 | AM 15 | AM 0 | PM 3 | PM 31 | 18 | 31 | 49 | 0 |
時間帯もほぼ決まっていたので、それがわかってからは観察しやすかったです。
時間帯で性別に違いがあったのも観察して面白いポイントでした。
これも繁殖のために有利だからこのような違いがあるのでしょうね。
同じ親から生まれた同士が交配しないようにとか、午後出てきたメスにいち早く気づいて飛んでいけるようにとかでしょうか。
ほとんど飛びませんが、サイズの違いを確認してみようとオスの近くにメスを近づけてみました。
すると、それまでじっと動かなかったオスが急に触覚と羽を細かく震わせて飛び立ちしばらくウロウロ飛んでいました。オスを覚醒させるフェロモンの威力すごいですね!
クワコは羽化直後なのもありますが、飛んでもそこまで範囲が広くなく、すぐに何かに掴まるので観察しやすかったですし、お出かけして目を放すのも安心できました。
羽化後にメスはフェロモンの袋を出してじっとしていて、オスはフェロモンを感知したのか飛び回るかまだ感知していないのかじっとしているかのどちらかでした。
メスもずっと出しているわけではなく、翌日放しに行く場合は朝見ると袋はしまわれていて、午後の羽化の時間になるとまた出していました。
「最後にマユになったマユ」からの羽化
唯一マユになった日をメモしていた、最後に9/23にマユになった子は10/12に羽化しました。
その間19日、そしてメスでした❗️
夕方、近所の桑の木に放しに行き、ついでに20分ほど散歩して戻ってきたら、どこからかオスがきていました!
フェロモンを感知する力はすごいですね👀✨
最後の羽化
最後の1マユはオスで、翌日10/13に羽化しました。
8/20にクワコの成虫を玄関で見つけて、そこから思いがけず2ヶ月近い飼育生活に突入しました。
途中お世話が大変だなと思ったり、死んでしまった子をみると自分の力不足を感じたりもありましたが、最後の子を野生に返すと育てられてよかったなという気持ちでいっぱいでした。
飼育の参考にした図鑑・絵本
絵本や図鑑や本を色々読んでみましたが、以下の5冊が特に参考になりました。
うまれたよ!カイコ
大型で、見開きいっぱいに写真が表示されて、細部まで良くわかります。
複数の子どもに読み聞かせるのにも見やすい絵本です。
生まれたてのカイコ(毛蚕)は小さ過ぎて、肉眼ではよくわからないくらいなのですが、この本ではページいっぱいに大きな写真でみることができます。
湿らせた筆に乗せるという方法もこちらで知りました。
ぜんぶわかる! カイコ (しぜんのひみつ写真館 5)
こちらは生態から、お家での飼い方まで詳しく載っていて大変参考になりました。
他にもマユを作る、クワコやヤママユなどについても載っています。
残念なのは、少し前の本のため書店で探してもなく、出版社にも在庫がないとのことでした。
図書館で探すか、高値になった中古品ならあるようです。
大研究カイコ図鑑: 生態から飼育方法、歴史まで。カイコのひみつがすべてわかる
こちらは大型でさらに厚みもあり、その分情報が盛り沢山な図鑑です。
毎日のカイコの目安の大きさまで載っています。
📘大研究カイコ図鑑: 生態から飼育方法、歴史まで。カイコのひみつがすべてわかる
解剖についても詳しく載っており、学校などで飼育・糸取り・解剖などするのに適していそうです。
また、皇室でもカイコを育てる行事があり、養蚕が大切にされてきた歴史も知ることができます。
📘大研究カイコ図鑑: 生態から飼育方法、歴史まで。カイコのひみつがすべてわかる
蚕のおくりもの
こちらはカイコを飼育する童話です。
普通のまちなかの住宅で、最初100個ほどの卵を孵化→成虫→産卵までさせそのまま冬に。
ここまでだったら、そのような飼育をしたことがある方もいるかも知れませんが、このお話はそこから翌年春にその大量の卵(ざっと2万5000個)が孵化して、その子達を必死で育てるお話です。
引用:蚕のおくりもの
あきのりくんの家は町なかのふつうの住たく、飼うスペースも問題です。今は小さな蚕ですが、その大きさは何十倍にもなることは去年の観察でわかっています。もちろん飼育せん用の道具もなければ、十分な量を食べさせてやれるくわ畑だってありません。
それでも、無心にくわにさばりつく小さな小さな命を見ているうち、
「がんばれるだけ、がんばろうか」
ママがそう言ってくれました。
クワの葉を必死に探すシーンや、たくさんのカイコの世話の大変さなどが身に迫ってきました。
家族だけでは世話をまかないきれず、知り合いのつてを頼ったり、友人達にお世話を一緒にしてもらったり周りの協力を得て育てていました。
子どもが、羽化させた子がまた卵を生むのをみたい!と言い出していたので、このお話をよみきかせながら説明しました。
何倍にも増えて大変だし、お家で飼うと葉っぱが足らずに飢えたり、密集し過ぎると病気になる子もでてくるんだよということを話して聞かせ、羽化した子は野生に返すことを納得してもらえました。
今回たまたま飼い始めたクワコは玄関前で拾った地元の野生種なので、自然に返すこともできます。
しかし、カチク化され野生では生きていけないカイコは特に、最後をどうしたいかまで考えて飼わないといけないのだなと身にしみました。
カイコ1000匹が教えてくれたこと (文研ブックランド)
こちらは小学校高学年くらいからおすすめです。
著者の谷本さんが友人からもらったカイコのまゆが羽化して成虫がたまごを産んで、そこから飼育をしていく様子が綴られています。
途中野生のクワコを見つけて並行して飼育していて、違いを観察したりという場面が興味深いです。
野生のクワコの飼育は難しいと言われるそうですが、幼虫を連れ帰っても高確率で他の生きものに寄生されているようで、なかなか成虫になるまで育てるのが大変らしいです。
カイコのまゆを使って、お肌のマッサージなどをする話もあり、クワコの羽化後のまゆで試して見ましたが、確かにしっとりした感じになりました!
著者はイモムシが苦手だと言いながらも、お世話して愛着が湧いてくる様子が共感できました。
おわりに:「学び方」を学ぶ
自然豊かな場所に住んでいるので、さまざまな生きものがいて、夏はカブト・クワガタが玄関先の外灯にきていたり、自宅周辺の草地で草むしり中に見つけたカマキリやバッタなどを飼ったりしています。
それでもこのような産卵から孵化、成虫まで間近で観察して育てる機会は稀だと思うので、せっかくならとこの観察を自由研究としてブログにまとめてみました。
私自身は子供の頃に虫は観察するくらいで飼ったことはなかったです。
しかし今回は子どもと一緒に自分も子供の頃に戻った気分で、図鑑で調べて、観察して、「図鑑と同じだ!」という場面を見られるととっても嬉しかったです。
「これはどうなっているのかな?」とか「図鑑と一緒だね!」とか図鑑で調べてみるという姿をみせるいい機会にもなりました。
まだ文字はほとんど読めませんが、子どもも気に入って一人で開いて読んでいました。
この本楽しい❗️クワコちゃん、カイコちゃん大好き💕
自然に対する新たな学びがあり楽しいものですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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