ぜひ親子で読んでほしい、子どもが親との絆や結びつきを感じられる絵本をご紹介します。
紹介する4冊は昔から読み継がれている名作ぞろいです。
読んでいると、子どもが『自分は守られている』『お父さんお母さんから大事にされている』と安心できて、『自分にとってほんとうに欲しいもの、大事なもの』がなにか感じられる絵本です。

ぼくにげちゃうよ

ぶん:マーガレット・W・ブラウン
え:クレメント・ハード
やく:いわた みみ
ある日、家を出てどこかに行ってみたくなった”こうさぎ”。
お母さんうさぎに「ぼくにげちゃうよ」と言うと、お母さんうさぎはこう返します。
「おまえが にげたら、かあさんは おいかけますよ。だって、おまえは とってもかわいい わたしのぼうやだもの」
ぼくにげちゃうよ (海外秀作絵本)
子どもが「小川の魚になって逃げちゃうよ」というとお母さんは「漁師になってお前を釣り上げますよ」というように、親子の会話が楽しい空想とともに広がります。
子どもは追いかけっこ大好き!でも一人でやってもつまらないもの。
子どもがどんなことをしても、どんな場所にいっても、愛情いっぱいにつかまえに来てくれるお母さんがいてこそ安心して逃げられるのではないでしょうか。
最後に”こうさぎ”は人間の子どもになるというのですが、お母さんはそんな”こうさぎ”にどんな言葉をかけるのでしょうか。
ちいさなヒッポ

さく:マーシャ・ブラウン
やく:うちだ りさこ
出版社:偕成社
主人公のヒッポは生まれた時からお母さんのそばを離れたことのない、ちいさなかばです。
大きなお母さんのそばにいれば安心です。
ヒッポがかばの言葉を覚える時がきて、おかあさんがほえてみせます「グァオ、ヒッポ!」
ヒッポも「グッ グッ! グァオ!」と、たどたどしく繰り返します。
こどもねこぐ ぐ ぐぁお!
子供も気に入って、ヒッポと一緒に練習していました。
覚えた言葉を使って、他の生き物にも嬉しそうに話しかけるヒッポ。
そんなヒッポですが、お母さんから離れて一人でいる時に、大きなワニに襲われてしまいます。
覚えた言葉を使って必死に叫ぶヒッポ。
果たして助かるのでしょうか。
一見地味な色味ですが、版画独特の味があり美しく何度読んでも飽きません。
お母さんカバが、ヒッポを救おうと立ち向かう絵の迫力もすばらしいので、ぜひ実際に読んでみてください。
こすずめのぼうけん


著:ルース・エインズワース
イラスト:堀内 誠一
翻訳:石井 桃子
出版社:福音館書店
ぐるんぱのようちえんなどで有名な堀内誠一さんの描く「こすずめ」がかわいい一冊!
あるところに、一羽のこすずめがいます。
こすずめにやわらかい茶色の羽が生えてきて、お母さんすずめに飛び方を教わることになりました。
いざ飛んでみると、どこまでも飛べそうな気がして、最初に言われた塀を過ぎてどんどん飛んでいってしまいます。しかしとうとう疲れて、羽も頭も痛くなってきました。
鳥の巣をみつけて休ませてもらおうと声をかけます。
「あの、すみませんが、なかへ はいって、やすませて いただいて いいでしょうか?」
すると同じ仲間か確かめるため「おまえ、〇〇って言えるかね?」と確認されます。
同じように言えないこすずめは、
「いいえ、ぼく、ちゅん、ちゅん、ちゅんってきりいえないんです」と言ってまた別の場所を探すのでした。
こんな事を繰り返し、もう飛ぶ元気もなく疲れ切ったこすずめ。
いったいどうなってしまうのでしょうか。
最後は安心できる帰る場所があると思えるからこそ冒険に出られるのは「こども」も「こすずめ」も一緒だなと思える作品です。
こすずめの言葉がとても丁寧で、いじらしくかわいらしいのもポイントです。
子供にどのページが好き?と聞いてみるとこんな返事が、



おかあさんのはねのしたで寝てるページがすき!
このページは、疲れ切ったこすずめが最後はお母さんの羽根の下で安心して眠るシーン。
我が家では子どもが寝落ちするまでの数分間はいまだに添い寝しているので、そんな点でも自分と重ねて読んだようです。
おやすみ前の定番として読んでみてもいいかもしれませんね。
ロバのシルベスターとまほうの小石


さく:ウィリアム・スタイグ
やく:せた ていじ
出版社:評論社
お父さんとお母さんと一緒に住んでいるロバの子どものシルベスターは、かわった形や色の小石を集めるのが楽しみでした。
夏休みのある雨の日にふしぎな小石を見つけます。どうやら何でも願いが叶う魔法の小石のようです。
小石を手に持って、願いを考えると実現するのですが、肝をつぶすほどの出来事に遭遇してしまって慌てたシルベスターはうっかり「ぼくは岩になりたい」と願ってしまうのでした。
眼の前の危機は回避できましたが、岩では何もできない事に気づきシルベスターは「永久にこのままなのだ」と絶望を感じます。
そして、家では帰ってこないシルベスターをお父さん、お母さんが心配します。
二人は必死で息子を探しまわり、住人を訪ね歩きますが見つかりません。
子どもは『もしも自分がいなくなったら』ということをこの絵本から想像します。
お父さんお母さんがどれだけ必死に探すか、見つからずにどれだけ悲しむものかという事をこの絵本を通じて知るのです。
どんな願いも叶う手段があるとすれば、あなたは何を望みますか?
石に願わずとも、実はすでにあなたが手にしているものこそが、かけがえのない望みがかなっている状態なのだと知ることができるかもしれません。
おわりに


今回紹介した4冊に共通しているのは、「離れても、帰る場所がある」ということ。
にげてもつかまえに来てくれるお母さん、必死に助けに来てくれるお母さん、疲れ切った体を休ませてくれる羽根の下、そして岩になった息子を探し続けるお父さんとお母さん。
どの物語も、子どもが安心して冒険に出られるのは「戻れる場所」があるからだと教えてくれます。
どれも何十年も読み継がれてきた名作ばかりで、大人が読んでも胸に残ります。
読み聞かせのあとに「どのページが好きだった?」と聞いてみると、思いがけない答えが返ってくるかもしれません。わが家では、それが親子の会話のきっかけになっています。
親子の絆を育む心に残る1冊になる、そんな絵本たちです。


ぶん:マーガレット・W・ブラウン
え:クレメント・ハード
やく:いわた みみ


さく:マーシャ・ブラウン
やく:うちだ りさこ
出版社:偕成社


著:ルース・エインズワース
イラスト:堀内 誠一
翻訳:石井 桃子
出版社:福音館書店


さく:ウィリアム・スタイグ
やく:せた ていじ
出版社:評論社












