こんにちは、眠りねこです。

みなさま、本は好きですか?
あるいは国語の授業は好きでしたか?
私は比較的本が好きだったため、その延長で国語の授業自体はそんなに苦ではありませんでした。
作文など、自由に自分の考えをまとめるのは少し苦手でしたが、全体としてそこまで困ったことはなかったです。
なので、「読書や国語に関心がないまま育つとどうなるか」という事を今まで考えて来ませんでした。
しかし、親になり子どもに対してどんなことをしてあげられるかと考えるように。
あそして、ある本を読んで、国語力が育たないと人生こんなに生きづらいのか!と驚きました。


🌀小学校中学年あたりから計算ができない(どういう意味の問題かわからない)
🌀自分の気持も言葉にできないので、親や友達に極端な言葉や乱暴な言葉を使う
🌀周りの状況や意図がわからず思い違いをする
私も国語力について関心がないまま来てしまい、自分の文章力・表現力のなさに身悶えする日々ですが、国語力が育たないと文章を書く以前の問題がたくさん出て来るということがわかりました。
他人とのコミュニケーションだけでなく、自分とのコミュニケーションにも必須です。
✅自分の気持ちを正しく理解し、表現するのに言語化が必須であること
✅相手の言語や意図を正しく読み取り、適切なコミュニケーションがとれること
✅場面にあった適切な表現をし、周りと無用な軋轢(あつれき)を生まないようにすること
子どもが小さい時期のイヤイヤ期に本当に心が折れそうでしたが、これはある意味、国語力がなく自分の気持を適切な表現で周りに伝えられず軋轢を生み出している状態とも言えるのでは?と考えました。



あれもイヤ!これもイヤ!!
2・3歳のイヤイヤ期なら、それは発達段階で仕方のないことなので当然だよねと大人も思うし、周りの子どもも同じ状態なので受け入れられます。
しかし、みんなが言葉を覚えて、まわりとの摩擦がだんだん解消されて行く中、国語力が十分に育たなかった子どもにどのような事が起こるのか…


さらに、今はさまざまなAIが台頭して便利になっています。
AIは非常に便利ですが、かならずしも正解を出しているとは限りません。
それなのに、全てをAIにまかせていては、何が正しくて何がまちがっているか子どももわからない状態になってしまいます。


AIをわかって使いこなすためには思考力が必要で、その思考するための基礎は「ことば」になります
そもそも、子どもたちに国語力を身に着けさせるにはと調べているうちに、関わる大人の方がまず国語力を身につけられていない・身につけないといけないということに気付かされました。
そんな事を考えるきっかけになった本と、文部科学省の文化審議会の資料を参考に「子どもの言葉を伸ばす読書」について考えてみたいと思います。
今の子どもたちに何が足りないのか?そもそも足りないのは子どもだけ?
文部科学省の文化審議会「国語力を身に付けるための国語教育の在り方」より引用します。
国語力の発達
国語力の発達のためにはまず語彙力が基盤になってきます。
どれだけの言葉と、その適切な意味や場面を知っているかが重要です。


乳幼児期には「考える・感じる・想像する力」は脳の発達段階に応じて進んでいきますが、その分それを下支えして育むのが「語彙力」です。
では、どうすれば語彙力が増えるのでしょうか?
まずは周りの大人たちの声がけが重要です。


さらに一歩進んだ抽象的な考えをするためには読書も必要になってきます。


「自ら本に手を伸ばす子ども」を育てる
読書は国語力の中核と位置づけされています。
『読書』は、国語力を形成している
✅「考える力」
✅「感じる力」
✅「想像する力」
✅「表す力」
+国語の知識
のいずれにも関わりがあり、これらを育てる上で中核となるものである。
特に、すべての活動の基盤ともなる「教養・価値観・感性等」を
生涯を通じて身に付けていくために極めて重要である。
とあります。また、
「自ら本に手を伸ばす」習慣が身についた子供たちが親になった時、初めて自分の子供にきちんとした国語の教育ができるようになる。そういう長い目で国語教育をとらえていくことが大切である。
とあるように、まずは親が自ら本を読んでいるか、という事が重要になってきます。


1ヶ月に読む本の冊数~あなたは何冊読みますか?!
それでは平均で1ヶ月に、どれだけ読書をしているのでしょうか?
文化庁のR5年度の調査資料を引用します。
何と、1か月に全く本を「読まない」人が6割以上でした!
☑️ 読まない(62.6%)
※一番多い上に増加している
✅ 1、2冊(27.6%)
✅ 3、4冊(6.0%)
✅ 5、6冊(1.5%)
✅ 7冊以上(1.8%)




私は今は記録を細かくつけていませんが、少なくとも月に7冊以上は読んでいます。
それがこんなに少数派だとは思いませんでした。
ただ、電子書籍やオーディオブックを利用しているのもあるかもしれません。
確かに、「紙の本」だけだった時期は子供の頃に比べて読める冊数が減っていましたが、電子書籍のKindleやオーディオブックのAudibleを使うようになって飛躍的に読書量が増えました。




それでは、国語力がないことへの危機感を抱いた本や、どうすればいいかのヒントになりそうな本を読んだのでご紹介します。
今の子供達の現状を知る:ルポ 誰が国語力を殺すのか(石井光太)
ルポ 誰が国語力を殺すのか
こちらを読んだことがきっかけで、
国語力がないと、こんなに生きづらくなると気づけた1冊です。


最初のお話から衝撃でした。
国語の教科書に載っている「ごんぎつね」という新美南吉さんの有名なお話があります。
この本は小学校の授業で「ごんぎつね」の内容ついて話し合う場面から始まります。
いたずら子狐のごんが、いたずらした相手の家を通りかかると…
よそいきの着物を着て、腰に手拭いをさげたりした女たちが、表のかまどで火を炊いています。大きな鍋の中では、何かぐずぐず煮えていました。
「ああ、葬式だ」と、ごんは思いました。
「兵十の家のだれが死んだんだろう」
引用:ごんぎつね(青空文庫)
大人なら、お葬式の準備で女性たちが集まって料理をしているとすぐにわかるでしょう。
しかし、先生から「何を煮ていると思うか」と問われた子どもたちの解釈が恐ろしいものでした。
🌀この場面は、死んだおばあさんをお鍋に入れて消毒しているところだと思う
🌀昔はお墓がなかったので、死んだ人を溶かして骨にしていたんだと思う
このような意見が出るのです。
しかもこれは個人の意見ではありません。
班ごとに数人で話し合い、8つの班のうち5つの班でこのような「おばあさんを煮た」という解釈だったそうです。


さらに大きくなった子どもたちの間では、
🌀自分の意志が言語化できずやりたいことや苦しいことが伝えられない
例)学校に行きたくないんだけど、なぜなのか本人も言語化できない
🌀語彙力がなく友人間のコミュニケーションが「死ね」「殺す」などの単語の応酬
例)友人間で本当に殺害に至ってしまう
なども起こっています。
語彙力があれば、多彩な表現で感情がグラデーション化でき、自分の感情や相手の心の機微を知覚できるようになります。


想像力も語彙力と密接に結びついていて、
他人の立場になって、状況を読み取るなどに必要だと筆者はいいます。
子どもたちはある程度の年令になると、家族と距離をおいて学校や習い事など異なる人達が集まる集団に身を置くことになる。
そこで必要になるのが、
多様な価値観から発せられる相手の主張を文脈の中で理解し、自分の意見を筋道を立てて構築していく論理的思考だ。社会のルールを把握し、他人に自分の思いをわかってもらうようにコミュニケーションを取り、トラブルが起これば最善の策を考えて解決する。
引用:ルポ 誰が国語力を殺すのか
その力をつけて、はじめて社会という集団で生きていける。
国語力から取りこぼされた子どもたちの事例と、対策としてどのような取り組みを行っているのかという事をこの本で知ることができます。
ぜひ読んでみてください。
こちらはオーディブルというAmazonのオーディオブックの定額プランでも聞くことができます。
ごんぎつね
この本にでてくるごんぎつねは電子書籍のKindleやAudible聴き放題で本文を¥0で読めます。
本文のみ確認したい方はこちらがおすすめです。


白黒ですが、さし絵や他のお話も読みたい方、読み聞かせしたい方はこちらがおすすめ。


ごんぎつねも含め13本の短編と1篇の詩が、新美南吉の生涯や各短編の解説とともに読めます。
寝る前や移動先でも子どもに読み聞かせできます。
KindleUnlimitedの読み放題対象です。
どのように子どもと関わっていくか考える~今井むつみ先生の本より
言語学者、認知心理学者の今井むつみ先生の本は子どもがどのように言語を習得して使っているかについて学びが多く、その中からピックアップしたいと思います。
親子で育てる ことば力と思考力


~日常の会話は全く問題ないのにことばの力が足りなくて、学校の授業についていけなくなる子どもがたくさんいます。
引用:親子で育てる ことば力と思考力
小学校低学年のうちから、日常会話で必要なことしか知らない子どもと、読書などから自然と日常会話ではあまり使われない抽象的な言葉を覚えた子どもの間で、ことばの力の差が大きくなります。
特に3、4年生になるとその差が学力に大きく影響してくるのです。
3、4年生からついていけなくなる子どもがいる、というのはこういうことなのかと思いました。
文字として音は読めても、その意味や概念を理解できないと本当の意味では読めていないのです。
では、その力を育むためにはどうすればいいのか?
この本にはスタンフォードの研究が引用されています。
その研究では、所得の高い家庭でと低い家庭では、2歳の時点で言葉力に関して半年分の差が出ているそうです。
なぜそのような差が出るかというと、親の経済状況が決定的な要因ではなく、『親から子どもへ話しかけることばの量と質』が、子どもの語彙の学習に大きく影響していたということだそうです。


所得の低い家庭でも、発話量が多い家庭では子どもは豊かな語彙力を持つこともわかってきたとのこと。
本書には絵本を使った関わりや、日常生活でできる声掛けなどの具体的な例も豊富にあるのでぜひ読んでみてください。
AIにはない「思考力」の身につけ方 ――ことばの学びはなぜ大切なのか? (ちくまQブックス)


こちらは10代向けのノンフィクションシリーズです。
先に紹介したの本を10代の読者向けに書き直したものなので、お子さん自身に読ませたい場合はこちらがおすすめです。
10代向けに表現を工夫して書かれているので、よりわかりやすい内容になっています。
大人もはじめて読む今井むつみ先生の入門書としていいかもしれません。


AIの思考過程と人間の思考過程の違いや、AIにはない人間の直感の磨き方などもあります。
お子さんは、ドラえもんに出てくるのび太くんみたいに
「宿題なんてAIが代わりにやればいいよ、AIに早く正解を出してもらおう!!」
などと考えていませんか?
そもそもAIは間違うものなので、でてきたものをそのまま使えません。
・前提知識がある分野で自分で間違いを修正できる
・たたき台にして時間を短縮する
などにはいいのですが、知らないことを検索して、答えを丸写ししては思考が育ちません。
自分の頭で問題を考えて、身体で体験し、失敗する過程を経ることで、自分で判断できる本当の知識が身についていきます。
特にこの、『身体感覚に取り込むこと』はAIにはできない人間の強みになります。


学力喪失 認知科学による回復への道筋 (岩波新書)


こちらはなぜ子どもが問題を理解できないのか、そもそもの認知の仕組みから読み解いた本です。
大人が「こうすれば理解できるだろう」ということが、実際には子どもの理解に繋がらないことも多い。
その認識のズレが、子どもの学力や意欲の低下へつながっています。
ただ授業を受ければ学力がつくわけではなく、それ以前に子どもに必要な語彙や概念やスキーマ(後述)があるか考え、じゃあ必要な語彙や概念をどう習得していくかということから見直していく事が求められています。
スキーマとは「人がもつ経験から導き出した暗黙の知識」なので、この前提条件が間違っているといくら丁寧に説明したとしても正しく伝わりません。


知識を組み合わそうにも、もともとの前提となるスキーマが間違っていれば間違った解釈にしかならないので、子どものスキーマを確認することが重要です。
また、本の帯にも書かれている『記号設置』という言葉をご存知ですか?
「記号(言葉・数・式など)」はある特定のものや事や概念を表していますが、それを「自分自身の感覚としてわかる=接地する」ということで、その言葉のもつ意味や概念を自分の体感として持つことです。
これがわかっていないと、算数などでつまづくようになってしまいます。
記号接地は一朝一夕に簡単には身につきません。
文字・数字の正解だけを追うのではなく、学校の勉強以前に、「遊び」ながら記号の概念を取り入れていくことで、記号接地につながりそれを下地にして、学校の勉強でも学ぶことができるようになっていきます。
「問題が解けた!」「答えが合っていた!」ではなく、
引用:学力喪失 認知科学による回復への道筋 (岩波新書)
「意味がわかった!」という瞬間、「学びは遊び」が実現するのである。
こちらもAmazonのオーディオブックのAudible定額プランで聞けます。
これからの時代に求められる国語力について
文部科学省が
「これからの時代に求められる国語力について」
という文化審議会での答申をだしています。
その中から、「こんなことができる」いう具体的な目標がわかりやすかったので抜き出してみます。
2 「聞く力・話す力・読む力・書く力」の具体的な目標
(1)「聞く力」について
1)話の要旨を的確に把握して,その内容を理解できる
①事実や根拠などに注意しながら,話の内容を正確に聞き取ることができる。
②聞いた内容をメモに取ったりして,話の構成や展開を理解できる。
③話を分析的・批判的に聞き,自分の意見や考えを組み立てることができる。
2)話し手の気持ちや主張だけでなく,言外の思いや真意を感じ取ることができる
①話し手が何を言いたいのかを探りながら,話を聞くことができる。
②話し手に共感でき,言外の思いも感じ取るように聞くことができる。
3)場面に応じて最後まで集中して,聞くことができる
①話の形態や話し手との社会的関係に対応した聞き方ができる。
②話し手の意図を考えながら,講話や講演を集中して聞くことができる。
③話をしっかりと聞き取り,確認すべき情報を整理して質問できる。
(2)「話す力」について
1)自分の考えを明確にして,説得力を持って論理的に伝えることができる
①自分の考えや意見を整理し,根拠や理由を明確にした論理的な話し方ができる。
②相手の話を受け,その内容を踏まえて自分の考えや意見を話すことができる。
③会議や集会などで,自分の考えや意見を適切に発表することができる。
2)相手や場面・目的に応じ,伝えるべき内容を分かりやすく話すことができる
①他者に配慮した(不快感を与えない,傷つけない)話し方ができる。
②話し合うことによって,相手との人間関係を深めることができる。
③場面や目的に応じた言葉を選び,表現に注意して情報を伝えることができる。
④敬意表現を適切に使った話し方ができる。
3)発声・発音・態度などを相手や場面に応じて,コントロールできる
①他者の前で落ち着いた態度で話すことができる。
②聞き取りやすい音声(声量・速さ・声の調子など)で話すことができる。
③大事なところを強調したり,間の取り方を工夫したりできる。
(3)「読む力」について
1)論理的・説明的な文章において,的確に論理を読み取ることができる
①新聞や雑誌などを読んで情報を正確に理解できる。
②文章の構成や論理の展開に沿って,内容を読み取ることができる。
③事実や意見等を区別して読み取ることができる。
④課題解決のために必要な情報を収集し,情報を処理するための読み方ができる。
2)文学的な文章において,気持ちや感情を十分に読み取ることができる
①様々な描写をとらえ,内容を的確に理解できる。
②登場人物に感情移入し,その心情を理解できる。
③比喩的,多義的,含意的な文章表現を読み味わうことができる。
④書き手の思考や心情などに迫ることができる。
3)古典(古文,漢文)の文章に親しむことができる
①代表的な古典作品のリズムや響きなどを理解できる。
②古典の音読や暗唱を重視し,日本の伝統的な文化に親しむことができる。(4)「書く力」について
引用:これからの時代に求められる国語力について(文化審議会答申)
1)自分の考えや意見などを正確に伝える論理的な文章を書くことができる
①客観的な根拠や理由に基づいて,自分の考えや意見を書くことができる。
②読み手が理解しやすい構成を意識して,文章を書くことができる。
③事実や根拠などを明らかにした論理的な文章を書くことができる。
④単なる感想文ではなく,思考,分析,判断を伴う小論文を書くことができる。
2)伝統的な形式や書式に従った手紙や通信などの文章を書くことができる
①自分の気持ちなどを正確に相手に伝えられるように書くことができる。
②社会生活に必要な実用的な文章をそれぞれの様式に従って書くことができる。
③社会的な関係を踏まえた適切な敬語などを用いて書くことができる。
④言葉を適切に使い分け,その場にふさわしい言葉を用いて書くことができる。
3)様々な情報を収集して,それに基づいて明確な文章を書くことができる
①本やインターネットなどから的確な情報を収集して,文章を書くことができる。
②収集した情報を正確に分析し,分かりやすい要約文にまとめることができる。
③会議や集会などで,分かりやすく説明するための資料を作成することができる。
正直、自分がすべてできているかと問われれば、
胸をはってできています!と言えません。
大人ができていないということは、それを子どもにも伝えられないということにも繋がります。
今回、子どもと関わることで国語力の重要性について考えさせられました。
まだまだできておらず、大人としても生涯学んで向上させていきたい力だと思いました。
自分も学んで、子どもにも生きた知識として日頃の会話をしていきたいです。


最近は、子どもも自分で「こうじゃないか」と考えて教えてくれるようになりました。
だんだん推論をするようになったということなのかな?と思います。



〇〇は〇〇だから〇〇なんじゃない?



〇〇だとどう?
正解してなくてもOKで、自分で考えてみる練習だと思っています。
読書のハードルを下げるのに、定額制のサブスクは大いに役立ちます。
また耳から読書することで、途中で止まることなく流れていくので挫折しないのと、聞き流しつつもいつの間にかフレーズや概念が頭に残っていたりします。
紙の本のほうが記憶の定着率がいいと言っても、読まなければ結局何も残りません。
気軽にもっと本を読んでみよう、子供に読み聞かせしてみようと思った方はぜひKindleUnlimitedやAudibleなどの電子書籍も活用してみてください。
Kindleサブスク
audibleのサブスク
audibleも良質な本が多く、人の声のナレーションで聞きやすくオススメです。
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